生活保護の仕事は市では行なっていない、って知ってますか?
え?市役所の中に窓口があって、職員もいるじゃないかって?
はい、そうです。でも、生活保護の相談員やケースワーカー。この人達は市役所職員として生活保護の仕事をしているのではありません。
「福祉事務所」って聞いたことありますか?実は、生活保護の仕事をしているのは、市の場合は「〇〇市福祉事務所」、郡部にある町や村では「〇〇(郡)福祉事務所」なんです。
では、具体的に説明していきますね。
市役所と福祉事務所
ここで、ケースワーカーの名刺の登場です。
〇〇市福祉事務所福祉課生活1係
社会福祉主事 鈴木太郎
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「市役所」ではなくて「福祉事務所」って書いてますね。
市の場合、ケースワーカーの名刺はこのような感じで、あくまでも「福祉事務所」の職員という位置づけなんです。(「ケースワーカー」と「社会福祉主事」の関係については、こちらをご覧ください。)
実は、生活保護を実施するのは「市長」ではなく「福祉事務所長」なんです。
実際には市役所の職員が業務を行なっているのですが、ケースワーカーは市職員の肩書きとは別に福祉事務所職員の肩書を持っているんですね。そして、生活保護業務は、福祉事務所職員の肩書で行なっているというわけです。
このため、生活保護の開始・変更・廃止の通知は、市長名ではなく福祉事務所長名で出します。
でも、生活保護の相談者や保護受給者と話をする時に、「福祉事務所」という言葉はめったに使いませんね。市民は「生活保護=市の仕事」と思っていますし、市民にとっては市役所か福祉事務所かなんてどうでもいいことでしょうし。
現場の職員の間でも、福祉事務所で仕事をしているという意識はほとんどありません。
ためしてみると、どうなる?
もし、生活保護担当課へ電話する機会があれば、「〇〇市の福祉事務所ですか?」と言ってみてください。配属されて間もない職員だと、意味が分からず、答えきれないかもしれませんね。もしかしたら、「違います」と答えるかもしれません。
福祉事務所の意味を分かってる職員からは、「こいつ何者だ」と警戒されるでしょう。私なら、電話の主は生活保護に詳しい人、=生活保護受給者を支援する団体?それとも弁護士?と疑います。
・・・あえて電話で言ってみるメリットが何もないですね(汗)
当ブログでの「市役所」「役所」「福祉事務所」
このブログでは生活保護実施機関のことを、「市役所」または「役所」と表現し、「福祉事務所」という表現はあまり使いません。「市役所=福祉事務所」と考えても一般的に問題ないですし、福祉事務所という言葉には、なじみがないと思いますから。
でも、福祉事務所の担当範囲は、市と郡部で大きく異なります。郡部にある町や村では福祉事務所を置いている所はほとんどありません。郡部では、いくつかの町や村をまとめて県の福祉事務所を置いている場合がほとんどです。町役場や村役場とは別に、県の福祉事務所があり、そこでは県の職員がケースワーカーを行なっています。町役場や村役場は書類の受付をするだけで、役場にケースワーカーはいないんですね。
図にすると次のようになります。