うつ病の人は生活保護を受けられる?精神病の人が生活保護を受けるための条件と注意点。

精神的な病気のため仕事ができない。

仕事はしているけれど、病気のため収入が少なすぎて生活できない。

病気のため障害年金をもらっているけれど、それだけでは生活できない。

生活保護ケースワーカーをしてると、生活保護の相談に来る精神疾患の人が多くいました。

でも、様々な理由で生活保護の申請が受理されないこともありました。

精神疾患がある人は、どうすれば生活保護を受けられるのでしょうか。

詳しく解説します!

生活保護決定の条件は2つだけ

シンプルに言うと、生活保護が決定する条件は、

「現在の収入と預金で最低限の生活が1ヶ月以上できるか。」

つまり、条件は収入と預金だけです。

「資産の保有状況」もポイントにはなりますが、生活保護が決定してからの問題です。

生活保護決定の段階では、大きな問題ではありません。

では、2つの条件を解説しましょう。

収入について

収入とは、給料、障害年金、各種手当(児童手当、児童扶養手当など)、そのほか全ての収入です。

預金について

預金とは、自分が持っている現金と、自分名義の銀行口座にある預金残高の合計です。

毎月の収入と預貯金で、生活保護レベルの生活が1ヶ月以上できない場合、生活保護の対象になります。

生活保護申請時の担当者とのやり取り

では、精神疾患のかたが生活保護を申請する際に、担当者から聞かれることを想定してみましょう。

「あなたは〇〇の収入がありますから、生活保護費はほとんど出ませんよ」

生活保護費がほとんど出ないというのは、裏を返せば、生活保護は決定できるということです。

生活保護が決定する時は、ギリギリでもいいのです。

保護費は少ししか出ませんよ、と言われても気にしないでください。

なぜなら、生活保護が決定すれば、通常の保護費以外に一時扶助費の対象になるからです。

一時扶助費とは、毎月の生活保護費以外に一時的に支給される保護費のことです。

具体的には、通院の交通費、眼鏡代、コルセット代、持ち家の修繕費、などがあります。

これらの一時扶助は生活保護が決まってから必要性を判断します。

このため生活保護が決まらないことには、一時扶助費の必要性の検討すらされません。

「体調もそれほど悪くないようですから、ある程度働けば生活できますよね」

保護申請の時は、体調の良し悪しは関係ありません。

今は働いておらず収入はない、ということで問題ありません。

実際に働けるかどうかは、生活保護が決まってから調査されます。

もし働けると判断された場合は、生活保護を受けながら仕事を探せば大丈夫です。

生活保護と就労の関係については、こちらの記事で詳しく説明しています。

「生命保険、学資保険、冠婚葬祭互助会の積立金があるので、まずは解約して生活費にあててください」

生活保護の条件を満たさない生命保険や学資保険、積立金などがあっても、生活保護は決定できます。

それが問題になるのは、生活保護が決まってからです。

生活保護の条件を満たさない生命保険などがある場合、生活保護が決まってから解約を指導されます。

解約して戻ってきたお金は収入として取り扱います。

これまでに受け取った生活保護費のうち、今回戻ってきたお金の分だけ、生活保護費を福祉事務所へ返す必要があります。

「自動車、バイク、持ち家がありますから、まず売却して生活費にあててください」

生活保護の条件を満たさない自動車、バイク、持ち家があっても、生活保護は決定できます。

それが問題になるのは、生活保護が決まってからです。

生活保護の条件を満たさない自動車、バイク、持ち家などがある場合、生活保護が決まってから売却を指導されます。

売却して戻ってきたお金は収入として取り扱います。

これまでに受け取った生活保護費のうち、今回戻ってきたお金の分だけ、生活保護費を福祉事務所へ返す必要があります。

なお、自動車についてはこちらの記事で詳しく説明しています。

それでも「生活保護の対象にはならない」と言われたら

生活保護の条件にあたらないので申請できないと言われたら、その理由をしっかりと説明してもらいましょう。

それでも担当者の説明に納得ができなければ、「生活保護を申請します」と言ってしまってください。

生活保護の申請は「国民の権利」です。

どうしても申請すると言われれば、担当者は拒否できません。

結果として生活保護の条件にあたらなければ、申請は「却下」となり生活保護は受けられませんが、必ず「保護却下決定通知書」が発行されます。

通知書を受け取る際に、生活保護が決まらなかった理由を担当者から詳しく説明してもらいましょう。

今後生活保護の申請を検討する際、重要なヒントになるはずです。

生活保護の申請には一人で行かない方がいい

精神疾患がある人は、できれば一人で申請に行かないほうがいいでしょう。

担当者からの質問にうまく説明できず押し切られてしまう人、逆に、腹を立て大声を上げて相談室から出ていく人。

保護申請の現場で、そんな事例をたくさん見てきました。

できれば、あなたが困っている事情をよく知っている人に、同席してもらうことをおすすめします。

具体的には、次のようなかたが望ましいでしょう。

・親族

・親しい知人

・通院先のソーシャルワーカー

・利用中の障害者施設の支援相談員

・地区の民生委員(地区で住民の相談援助をするボランティアの公的な役職で、守秘義務があります。)

・地元の市議会議員、町議会議員(同行は難しいかもしれませんが、事務所へ電話で相談して、生活保護課の課長さんへ電話を一本かけてくれるようお願いできれば、強力なプッシュになります。生活保護担当者は役所の職員です。議員から課長へ連絡があると、対応が変わります。)

まとめ

  • 生活保護の条件は、現在の収入と預金の2つだけ。
  • もし生活保護にならないと言われても、納得できなければ「申請する」と言ってしまう。
  • 生活保護の申請には、あなたの事情を知っている人に付き添ってもらう。