生活保護受給者は養育費の受け取りを拒否できる?約束した養育費が受け取れない場合の対策とは?


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生活保護受給中のSさん
母子家庭です。元夫から養育費を受け取ることが調停で決定しましたが、元夫には関わりたくありません。そこで、養育費の受け取りを拒否したいのですが、ケースワーカーから、何か言われますか?
もし、元夫が支払いを拒否したら、ケースワーカーから何か言われますか?
 
10年ワーカー
離婚するにはそれなりの理由があるのでしょう。Sさんのように、別れた元夫とは一切関わりたくない、という方は時々いらっしゃいます。心情としては分かります。
しかし、ケースワーカーからは「必ず養育費を受け取ってください」と言われます。それにはこんな理由があるのです。

受給権があるお金は、必ず受給する必要がある

夫婦関係は離婚で解消されますが、親子関係は残ります。母親が子供を引き取ったとしても、別れた元夫と子どもの親子関係は残るのです。だからこそ、別れた元夫に対して子どもの養育費を請求できるのですね。
 
生活保護法では、特に子供が中学を卒業するまでは、親には仕送りをすべき強い扶養義務(生活保持義務)があるとしています。子どもが中学を卒業するまでは、親は子どもを育てるために最大限の努力をしなければならないのです。
 
また、生活保護受給者の親・兄弟・子どもから仕送りが受けられる場合には、生活保護よりも仕送りを優先すると定められています(生活保護法第4条第2項)。
生活保護法第4条第2項
民法に定める扶養義務者の扶養及び他の法律に定める扶助は、すべてこの法律による保護に優先して行われるものとする。

仕送りを受けても受けなくても、生活費の総額は変わらない

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そうなんです。仕送りの分だけ生活保護費が減らされますから、仕送りを受けても生活費の総額は変わりません。これは生活保護受給者の損得や手間の大小の問題ではなく、生活保護制度の考え方なのです。
 
生活保護は、どんなに努力しても最低限度の生活ができない人のための制度です。生活保護受給者は収入を得る正当な権利がある場合には、それを活用する義務があるのです。
 
Sさんの場合、裁判所の調停により元夫が養育費を支払うことが決まっているのですから、これは当然払ってもらわなければなりません。仕送りが生活保護費より優先ですから。Sさんには元夫から仕送りを受けてもらう。そして、仕送り額と同額だけ保護費が減額されるのです。
 
もしSさんが養育費を受け取らない場合、養育費相当額を減らした保護費しか支給されない可能性もあります。養育費をもらえるのに自分の都合で受け取らないのなら、その分は自分でかぶってください、ということですね。
 
生活保護受給中のSさん
そうなんですね。。。では、元夫からの仕送りは嫌でも受け取らないといけないということですね。
でも、元夫が支払いを拒否した場合はどうすればいいのでしょうか。それでも生活保護費は減らされるのですか?
 
10年ワーカー
安心してください。元夫が養育費の支払いを拒否した場合は、生活保護費が減らされることはありませんよ。でも、一定の手続きが必要になります。詳しく説明しましょう。
  

前夫が養育費を支払ってくれない場合の対応方法

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これまでの話は元夫が養育費を支払う場合でした。今度は、元夫が養育費を支払わない場合ですね。
 
この場合、法的手段としては、家庭裁判所へ養育費の調停を申し立てるなどの方策があります。ただ、生活保護制度では、いきなり法的手段に訴えるよりも、まずは当事者間で話し合いなさい、としています。
 
当事者間で、養育費についてできるだけの話し合いをして、それでも夫が養育費を支払わない場合、保護費が減額されることはありません。なぜなら、養育費をもらうための努力は行ったと評価されるからです。
 
Sさんの場合、すでに裁判所の調停で養育費の支払いが決定していますから、養育費が支払われない場合、裁判所で履行勧告や履行命令を求めるよう福祉事務所から指導があるかもしれませんね。
 
ですが、養育費の仕送りがないケースでそこまで手続きをさせた事例、私は見たことがありません。保護受給者にそこまでの手続きをさせるとなると、どうしても保護受給者だけでは手続きが進まないのです。
 
結局ケースワーカーが手続きを手伝わざるを得ず、ケースワーカー自身の業務が増えてしまうため、ケースワーカーもそこまで強くは指導しないのです。
 
実際の手続きとしては、収入申告書に仕送り額0円と書いて福祉事務所へ提出すれば終了です。支払われていない養育費が保護費から減額されることはありません。

元夫から子どもへ渡されるお小遣いも収入申告が必要

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本題から少しそれますが、元夫から母子世帯の子どもに対して直接お小遣い名目で現金が渡されるケース、時々聞きますね。母子世帯の母親と話をする中で、ポロッとそういう話が出たりするのです。
 
こういう場合、本来は収入認定の対象なのですが、母親が収入認定の対象となることを知らなかったりして、収入申告が行なわれることはめったにありませんね。現金手渡しの場合は通帳に証拠も残りませんし、ケースワーカーも聞こえなかったふりをしますよ。面倒なことはしたくありませんから。 

まとめ

  1. 養育費は必ず受け取ること。ただし、生活保護費は養育費の分だけ減額されるので、生活費の総額は変わらない。
  2. 養育費が相手方から支払われない場合、受け取るために最大限の努力をすること。それでも支払われない場合は、生活保護費は減額されない。
10年ワーカー
現場感覚では、母子世帯のうち養育費が収入として認定されているのは1割程度でしょうか。生活保護受給者の場合、養育費をもらわなくても生活に支障がないので、受け取る割合が低くなってしまうのは仕方がないのかもしれません。
 

リンク

仕送りについて、こちらの記事でも説明していますので、興味のある方はご覧ください。

 

 
 
 
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