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生活保護受給者が他の市へ転居。福祉事務所間の情報共有はどうなっている?


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生活保護受給中のTさん
A市で生活保護を受けながら仕事を探していたのですが、同じ県内のB市で正社員として就労が決まりました。この機会にA市での保護を辞めB市へ引っ越し、B市では生活保護を受けずに生活する予定です。

この場合、A市で生活保護を受けていたことは、B市に分かってしまうのでしょうか?

10年ワーカー
Tさん、就労により生活保護から自立されるとのこと、おめでとうございます。

転居先では生活保護を受けないのですから、保護を受けていたことはB市に知られたくないですよね。福祉事務所間の情報共有はどうなっているのでしょうか。

個人情報は外部に出さないのが原則ですが、必要最低限の情報は関係機関の間で共有します。福祉事務所間の情報共有の範囲を明確に定めた法令は、特にないようです。
 
では、実務上どのように取り扱われるのでしょう。

転居先でも生活保護を受ける場合

まずは、転居先でも引き続き生活保護を受け続ける場合です。
 
この場合、福祉事務所の間で情報共有されます。
転居先と転居日が決まったら、転居元の福祉事務所から転居先の福祉事務所へ連絡を入れます。
まずは、世帯構成・転居日・転居理由などを電話・FAXなどで連絡します。
 
福祉事務所の担当地域の外に転居した場合、生活保護は一旦廃止になります。
転居先を担当する福祉事務所で、もう一度生活保護を申請することになります。
 
保護申請を受けた福祉事務所は、生活保護の必要性を最初から調査します。
この時点で、転居元福祉事務所に対して、詳細な情報提供依頼がなされます。
 
保護申請を受けた福祉事務所は、調査を進めていく中で、
① 転居元の福祉事務所生から受け取った生活保護費と二重支給にならないか、
② 生活保護が途切れないか、
についても確認します。

 

①生活保護費の二重支給とは?

例えば、Tさんが3月20日にA市を出て、翌3月21日にB市で生活保護を申請したとします。
A市での生活保護は3月21日廃止(生活保護は3月20日まで)、B市での生活保護は3月21日開始となります。
 
この場合、B市は保護申請があった3月21日からの保護費を支給するのが原則ですが、
Tさんは3月初めにA市から3月31日までの保護費を受け取っていることが多いでしょう。
 
B市で3月21日からの生活保護が決まった場合、3月21日から3月31日までの生活保護費をA市とB市で二重に受け取っていることになります。
 
このような二重支給を防ぐためにも、福祉事務所間の連携が欠かせません。
 
なお、この事例ですと、3月21日以降TさんはA市に住んでいないので、A市で先に支給した3月21日から31日分の保護費は、A市へ返還するのが原則です。
 
しかし、TさんがB市で生活保護を申請した時点で、A市から支給された保護費を転居費用などに使ってしまっていた場合、A市はTさんからの返還を免除することが多いです。
 
つまり、TさんはA市へ保護費を返さなくてもいいことになります。 
 

②生活保護が途切れる不都合を防ぐ

例えば、Tさんが3月20日にA市を出たものの、B市での保護申請が3月22日になったとします。
A市での生活保護が3月21日廃止(生活保護は3月20日まで)、B市の生活保護は3月22日開始となります。
 
すると、3月21日が生活保護の空白期間となってしまいます。
 
日本は国民皆保険制度ですから、生活保護の適用がない3月21日は、国民健康保険等に加入する必要があります。3月21日だけ国民健康保険料も発生するわけです。
 
このような不便を防ぐためにも、福祉事務所間の連携が必要なのです。
 

転居先で生活保護を受けない場合

では、今回のTさんのように、転居先で生活保護を受けない場合はどう取り扱うのでしょう。
 
この場合、①二重支給の問題や、②生活保護が途切れる不都合も、問題になりません。
 
したがって、A市がB市へ情報提供する必要はありませんから、原則に立ち返り、転居先の福祉事務所との情報共有は行われません。
 
A市での保護廃止日以降の生活保護費は原則として返還対象ですが、転居などで使ってしまっている場合は、やはり返還を免除することが多いです。
 

マイナンバーによる情報連携

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生活保護申請時のマイナンバーの届け出が義務化されています。
 
福祉事務所では、届け出られたマイナンバーを利用して、年金機構を通さなくても年金額を確認できますし、労働基準監督署を通さなくても雇用保険手当額の情報を把握できます。
 
今のところ、生活保護受給歴は確認できませんが、今後どうなっていくのでしょうか。
 

まとめ

 
  1. 他の福祉事務所には、生活保護の情報を提供しないのが原則。
  2. 生活保護受給中の人が転居先の市町村でも生活保護を受ける場合には、福祉事務所間で情報共有される。

 

10年ワーカー
市町村間で情報共有されると言っても、転居先の福祉事務所では新規申請扱いになるので、一から資料を作成する必要があります。
転居元の生活保護が廃止にならず、そのまま転居先に引き継げるような制度ができれば、福祉事務所も保護受給者も助かると思うのですが。。。

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