生活保護のケースワーカーとは?ケースワーカーと社会福祉主事の違い。

103a06a9ad95059c0b121ff3d74ad2cb_s
 
役所で生活保護の業務を行っている職員をケースワーカーと言います。
 
 
実は、ケースワーカーは、同じ市役所でも他の課の職員とは異なる身分で仕事をしているんです。その身分というのが、「社会福祉主事」です。
 
 
ケースワーカーとは?社会福祉主事とは?はたまた、ケースワーカーが自分自身のことを、人格が高潔で、思慮が円熟で、社会福祉の増進に熱意がある、と言い切ってしまえる理由とは??
 
 
 
 
ケースワーカーと社会福祉主事
ケースワーカーの名刺って見たことありますか?
だいたいこんな感じです。
 

 〇〇市福祉事務所福祉課生活1係

 社会福祉主事 鈴木太郎
 
この名刺の肩書き、「ケースワーカー」ではなく「社会福祉主事」となっています。この二つ、どう違うのでしょうか?(「福祉事務所」については、こちらの記事をどうぞ。)
 
 
ケースワーカーとは、公的機関や医療機関などで、福祉に関する住民の援助や相談を行う職員の一般的な呼び方です。最近では、このような職員のことを「ソーシャルワーカー」と呼ぶことが増えていますが、「ケースワーカー」との違いはあいまいです。
 
 
生活保護の現場では、生活困窮者の相談、生活保護申請者の調査、生活保護受給者の対応をする職員のことを「ケースワーカー」と呼んでいます。法律上明確でない名称がこんなに幅を利かせているのも不思議な感じがしますが、昔から使われている名称なので、簡単には変わらないのでしょうね。
 
 
 
 
社会福祉主事とは
生活保護業務を行うケースワーカーは社会福祉主事であることが、法律で定められています。大学等で一定の科目を修了し、さらに、長(市の場合、市長)から任命されることで、はじめて社会福祉主事と名乗れます。ですから、市役所を辞めてしまうと、社会福祉主事とは名乗れません。
 
 
社会福祉主事になるには、社会福祉主事任用資格を備えたうえで、さらにその団体から社会福祉主事として任命される必要があります。
 
 
社会福祉主事任用資格 + 団体からの任命 = 社会福祉主事
 
 
社会福祉主事任用資格を備えるための条件は、法律上5パターンあるのですが、現場で実際に見かけるのは次の3パターンです。
 
  1. 社会福祉士の国家資格を持っている場合
  2. 大学等で社会福祉に関する科目を3科目以上を修了し卒業した場合
  3. 厚生労働大臣の指定する養成機関の課程を修了した場合
 
1.の社会福祉士の国家資格を持っている人は現場にはほとんどいないですね。ケースワーカーの多くは事務職として市役所に採用されて、今はたまたまケースワーカーをしているだけ、という場合がほとんどですから。
 
 
文系の大学を卒業していれば、2.に該当することが多いです。それ以外の人は、通信教育などで1年間勉強して、3.の養成機関の課程を修了する必要があります。業務上必要なことなので、費用は役所が負担する場合がほとんどでしょう。
 
 
 
 
1年目のケースワーカーは、社会福祉主事じゃないかも!?
そうなんです。
生活保護業務を初めて行う職員のうち、通信課程などで勉強する人たちは、養成機関の課程を修了するのに1年間かかるわけですから、ケースワーカー1年目は社会福祉主事を名乗れないんです。
 
 
だからと言って、慢性的に人手不足の生活保護現場で1年間ケースワーカーをさせないわけにもいきませんから、当たり前のようにケースワーカーをやってますけど。ちなみに、こういう人の名刺には「社会福祉主事」の肩書がありません。
 
 
 
 
人格高潔、思慮円熟、社会福祉の増進に熱意あり!?
法律では、社会福祉主事は20歳以上で、人格が高潔で、思慮が円熟し、社会福祉の増進に熱意がある者のうち、社会福祉主事任用資格を備えた者の中から任用すると定められています。(社会福祉法第19条)
 
 
つまり、2年目からのケースワーカーは全員、人格が高潔で、思慮が円熟し、社会福祉の増進に熱意があるということですね!
 
 
ええ、私も社会福祉主事です(笑)